2010年10月30日土曜日

代々木の杜




夕暮れの代々木の杜には雨が降っている
さっきより雨は激しくなってきた
杜にはいっていくとやさしい雨音に変わった 
いつも通る杜の小道は蒼く冷たい空気に包まれている
僕は土と草と水たまりの上を歩いていく 
街灯が白い光を放ち、濡れた木立の表面を走る雨のしずくを照らしている
小道の脇のかまぼこ型の小さな家を脇目で見ながら通り過ぎていこうとした時だった 
白いシートの内側から照らす明かりがぼんやりと目の隅に映った 
立ち止まってよく目をこらすと、部屋の明かりに照らされて影になっている形が見える
フクロウの影絵だった
雨と冷えた空気が一体となって霊気が自分に伝わってくる
白い雨の精霊によって
耳にはかすかな雨音だけが聞こえる
静けさと空間の中で時間だけが止まっていた

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